車が冠水・浸水したらどうする?被害の抑え方や対処方法を一挙紹介
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通常の運転時に比べて視界が悪くなる雨天時の走行は、道路状況にも注意が必要な場面です。ゲリラ豪雨が発生した場合、少し前まで走行できた道が瞬時に冠水するケースもあるでしょう。
自然災害は思いがけないタイミングで起こるため、状況によっては車が水害に遭遇するかもしれません。
そこでこの記事では、車が冠水・浸水した場合の対処法や保険の適用についてご紹介します。冠水・浸水で閉じ込められたときの脱出方法についても解説しているため、もしもの事態に備えておきましょう。
目次
冠水した道路はできる限り走行を控えよう
雨天時の走行では、冠水・浸水への注意が必要です。冠水・浸水した道路へ進入してしまうと、車体の制御が難しくなるでしょう。また、車体が水没した場合、故障の恐れがあります。水位の変動が走行に及ぼす影響は以下の表の通りです。
水位 | 走行への影響 |
0cm~10cm | 走行に支障は無い |
10cm~30cm | ブレーキの効きが弱まる |
30cm~50cm | エンジンが切れる可能性が高い |
50cm~ | 車体が水面に浮く恐れがある |
水位が10cmを超えた場合には、安全な場所への避難が必要になるでしょう。また、30cmを超えた場合には直ちに運転を中止して車外へ脱出する必要があります。
冠水・浸水した車のダメージとは?
車はさまざまなパーツを組み合わせて製造されており、冠水・浸水すると大きな影響を及ぼす恐れがあります。ダメージを受けた車はエンジンの損傷や電気系統の故障を招く可能性があり、時間が経過するとカビや細菌が繁殖することもあるでしょう。
ここでは、冠水・浸水した車がどのようなダメージを受けるのかについて詳しく見てみましょう。
エンジンの損傷
エンジンは車の動力源として使用するパーツです。エンジンには、燃料と空気を反応させる役割を持つピストンが使われています。冠水・浸水によってエンジンに水が入り込むと、ピストンの動きが鈍くなり、最終的には停止してしまうでしょう。
冠水・浸水の影響でエンジンが停止した場合、再始動させるのは非常に危険です。内部に水が入った状態でエンジンをかけると深刻な負荷がかかります。場合によってはエンジン本体の故障を招きかねません。
電気系統の故障
電気系統はさまざまなパーツで使われており、近年ではエンジンにもコンピューターが使われています。燃料供給や点火タイミングをコントロールしているため、冠水・浸水によって電気系統にダメージが及ぶと、誤作動を引き起こす可能性があるでしょう。
海水が車内に浸入した場合には、特に注意が必要です。塩分の含まれた海水は真水よりも電気が伝わりやすいという性質があり、状況によっては火災を引き起こす恐れがあります。また、電気系統には金属が使われているため、劣化するとサビが発生する可能性もあるでしょう。
カビの発生や細菌の繁殖
車の冠水・浸水が発生した場合、室温の上昇によって車内の湿度が高まるでしょう。車内は通気性が悪いため、カビや細菌が繁殖してしまう可能性があります。
水害から数日が経過してカビや細菌が増殖すると、車内に不快な臭いが充満するでしょう。また、カビアレルギーが人体に付着した場合、体調不良や健康被害などの症状を引き起こすかもしれません。
一度カビや細菌が繁殖した車内を完全に元通り戻すことは困難なため、日頃から冠水・浸水の被害に遭わないように心がけておきましょう。
関連記事冠水・浸水してしまったときの対処方法
注意を払って生活していても、突然の災害や事故によって冠水・浸水の被害に巻き込まれる場合があります。周囲の水が引いた後であれば、一見変わりない様子に見えるかもしれません。
しかし一度水に浸かった車は、ダメージを受けている可能性があるため、今まで通り使い始めることは控えましょう。まずは車の状態を確認するために、自走は控えて販売店や整備工場へ相談することが大切です。
エンジンをかけない
冠水・浸水の被害に遭った後は、車が壊れていないかを確認するためにエンジンをかけたいと考えることがあるでしょう。しかしむやみにエンジンをかけてしまうと、破損や感電を招く可能性があるため危険です。
電気を通しやすい海水による冠水・浸水の被害であれば、エンジンをかけていなくてもバッテリーから電気が流れてショートし、車両火災を招く危険性があります。
車が水害に遭ったときはエンジンをかけないように心がけ、車への乗りこみや自分でバッテリーを取り外すことも控えましょう。
関連記事ロードサービスを依頼する
冠水・浸水した車を移動させる手段は、ロードサービスがあります。被害に遭った車を放置すると二次災害を招く可能性があるため、水が引くのを待ちながら販売店やロードサービスに相談すると良いでしょう。
エンジンをかけずに車を移動させられるため、整備工場などへ運び状態を確認しましょう。車が受けたダメージの大きさを確認すると修理費用の目安も分かるため、修理して乗り続けるか、車の乗り換えが必要なのかが判断しやすくなります。
冠水・浸水で閉じ込められたときの脱出方法
冠水・浸水の被害を受けるときは、ゆっくりと水位が上昇するとは限りません。ゲリラ豪雨や台風の影響により、急激に水位が上昇する可能性があり、車の移動が間に合わないこともあるでしょう。
車に乗車した状態で水没してしまい車内に閉じ込められた場合は、冷静な判断で脱出を試みることが大切です。ここでは万が一水害に遭って車内から出られなくなった場合の脱出方法を3つご紹介します。
早めにドアや窓を開けて脱出を試みる
冠水・浸水の影響で車が水没した場合、まずは落ち着いてシートベルトを外し、窓やドアを開けて脱出を目指しましょう。外開きのドアは水圧によって開きにくくなるため、水が深くなる前に脱出することが大切です。
窓から脱出する際は、背中側から外へ出ると車体につかまれるため脱出しやすくなります。シートベルトが外れないときは、シートベルトカッターでベルト部分を切断すると良いでしょう。専用のカッターは緊急脱出用ハンマーに備わっていることもあります。
脱出用のハンマーを使用する
ドアを蹴ってもドアが開かない場合、緊急脱出用ハンマーの使用をおすすめします。ガラス窓を簡単に破壊できるため、緊急時に重宝するアイテムです。緊急脱出用ハンマーにはさまざまなタイプがあり、最近では暗闇を照らすLEDライトなどの機能が装備されたタイプが販売されています。
緊急脱出用ハンマーを使用する場合、使用する場所の選択に配慮が必要です。フロントガラスは合わせガラスになっており、緊急脱出用ハンマーを使用しても割れにくくなっています。緊急時は比較的簡単に割れる窓ガラスを選ぶため、ドアに取り付けられているサイドガラスを選択すると良いでしょう。
ハンマーが無いときは浸水するまで待つ
緊急脱出用ハンマーを常備していない、または使用しても窓が割れない場合は、ドアが開きやすくなる瞬間を狙って脱出しましょう。車内の水位が上がってくるとドアにかかっていた水圧は徐々に弱くなります。
ドアが開く状態にし、足で蹴り開けるように全身の力を込めて開けましょう。車内の水位が上昇すると、冷静さを保つのが難しくなるかもしれません。深呼吸して冷静さを取り戻すのが重要です。
冠水・浸水した際の保険の適用
車が冠水・浸水した際における自動車保険の適用は、契約内容によって異なります。保険の適用が可能であるケースも多いですが、状況によっては対象外となるケースもあるでしょう。
加入している保険の正確な適用範囲は、契約内容を確認してみることが大切です。ここでは一般的な自動車保険の水害への対応についてご紹介します。
台風や洪水などによる水害は保険の適用が可能
自動車保険の車両保険に加入している場合、豪雨や台風による車両の損害に関する保険の適用が可能です。自動車保険には一般型とエコノミー型がありますが、いずれの場合でも補償対象となる傾向があります。
水害を受けたケースだけではありませんが自動車保険の補償を受けて修理する場合、等級の変動による影響の確認が必要です。冠水・浸水による損傷で自動車保険を使用すると、1等級ダウンします。また、事故あり係数適用期間が1年加算されるでしょう。
自動車保険の使用を検討する際には、修理費用と翌年の保険料を比較しながら決めることがおすすめです。
地震による津波については保険の対象外
自然災害による被害でも、地震や噴火などによる津波によって発生した損害については補償の対象外になる可能性が高いでしょう。津波による被害は広範囲にわたるケースが多く、保険料の適正な設定が難しいためです。
津波に似たケースとして高潮による被害がありますが、台風が原因の水害について自動車保険を利用できます。保険会社によっては、地震、噴火、津波などで所有している車が全損になった場合に適用される特約を販売している場合があります。
冠水・浸水の被害を防ぐための方法
車の冠水・浸水被害は、車体へのダメージに加えて命の危険も伴うため、日頃からできる限りの対策を行っておきましょう。
雨天時に車を走らせる場合は、なるべく冠水しやすい道路の使用を控えることが大切です。思いがけないトラブルに対応できるように、利用の多い道路の特徴を確認しておくと良いでしょう。
冠水しやすい道路の使用を控える
豪雨や台風などの悪天候時には、事前に冠水しそうな道路の使用を控えると良いでしょう。周囲の道路よりも高さが低くなっている道は、雨水がたまることによって冠水する可能性があります。
冠水した道路の走行を控える方法のひとつは、ハザードマップの活用です。市区町村などの地方自治体が作成しており、冠水による事故が発生しやすい場所が記載されています。事前に利用することが多い道の特徴を確認し、冠水しやすい道を把握しておきましょう。
やむを得ずに冠水した道路を走行する際は水位を確かめる
冠水した道路に囲まれてしまった場合など、走行時の状況によってはやむを得ず冠水した道路を走行しなければならないこともあるでしょう。多少の深さであれば走行できるように感じるかもしれませんが、感覚には個人差があるため安易な判断は危険です。
車が冠水した道路を走れる明確な深さの決まりはありませんが、水が吸気口やマフラーから浸水するとエンジンが停止する可能性があり、床面に触れると自動スライドドアやパワーウインドウなどの電気装置が壊れる可能性があります。
道路に侵入する際には縁石やガードレールを基準にすると、車体の高さと水位を確かめることが可能です。車体やマフラーに水が触れることなく走れると判断した場合は、できる限りスピードを落として水が入らないように気を付けましょう。
関連記事冠水・浸水の被害を受けた車の処理方法
冠水・浸水によって車が被害を受けた場合、選択肢は主に「乗り続ける」「売却」「廃車」の3択です。判断は車の状況や修理費用によって変化するため、状況の確認を依頼した整備工場や販売店の意見を伺いながら今後の使用について決める必要があります。
ここでは、冠水・浸水の被害を受けた車の使用や処分の判断基準の目安をご紹介します。
修理して乗り続ける
大切に使用した車が水没になったときは、なるべく修理して乗り続けたいと思うかもしれません。しかし冠水・浸水による損害の場合、高額な修理代がかかる可能性があります。
特にエンジンやトランスミッションの修理については、100万円以上の修理代がかかることがあるため、どの程度の修理が必要なのかを確認して判断すると良いでしょう。
年式の古い車や走行距離の多い車の場合、新車時よりも大幅に車両の価値が下がっている可能性があります。市場価格よりも修理代が上回っているときは、無理に乗り続けるよりも手放すほうが向いている場合があることを考慮しましょう。
関連記事中古車販売店に売却する
車を手放す場合の選択肢のひとつは、中古車として売ることです。乗り続ける場合は修理費がかかる車であっても、買取ならお金に変えられる可能性があります。
しかし冠水・浸水の影響を受けた車は、通常の中古車に比べて買取価格が大きく下がる傾向があるため、思った以上に価値が付かないかもしれません。水没車は被害の度合いによって査定時の点数が減点され、査定額が50%~70%ほど下がってしまいます。
車両のコンディションによっては買取を断られる可能性や処分にかかる費用を請求される可能性もあるでしょう。
関連記事廃車買取業者に買取してもらう
冠水・浸水の影響を受けて中古車としての価値を生み出すことが難しい場合は、廃車買取業者の利用がおすすめです。廃車をお金に変えることができ、廃車手続きなどの処分費用をかけずに車を手放せます。
廃車買取は解体後の中古パーツや金属素材を利益化するため、中古車としての価値が無くても買取が可能です。そのため廃車買取業者であれば中古車としての価値が低い水没車や自走できなくなった不動車でも0円以上の買取が目指せます。
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まとめ
車が冠水・浸水の影響を受けた場合、慎重な取り扱いが求められます。もしものときは無理にエンジンをかけずに、整備工場や販売店に状態の確認を依頼しましょう。
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